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「そうなんですか…?凄いですね、私でも分からない癖を覚えてるなんて…」
彼女は恥ずかしそうに顔を逸らしてポツリと呟いた
「覚えてたっていうか、思い出した…の方が正しいかな…」
僕は彼女の癖を覚えていた訳ではなく、現在と過去の彼女を繋ぐモノに気付いただけだった
何気ない彼女の行動にも過去との繋がりを探している僕は少し彼女に対する想いを引きずっているんじゃないか…
そう思った…
「あ…そろそろ約束の時間……私、行きますね?
こんな所で会えるなんて思ってなくて少し驚きましたけど、久しぶりに会えてよかったです。
それじゃあ、また…」
彼女はふと思い出したように右手の腕時計を見るとベンチから立ち上がり、少し早口に言葉を紡ぐと小さく手を振って立ち去って行った
僕はそれから暫くの間、煙草をくわえて紫煙を吐き出しながら空を眺めていた。
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