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沈黙していたミキはまたため息を吐いた。
「だから、なんですか?」
「話してくる。ゆう姉と」
立ち上がり、直人はまた階段へと足を掛けた。
その腕を掴まれた。
「察しているなら分かってるはずよ?意味はないと」
「おい、二人とも何の話だよ!?」
一人置いてきぼりを食らった司が割って入る。
ミキが盛大な舌打ちをした。
「司、貴方には関係ないから黙ってなさい」
「な、なんなんだよ!?俺だってその子を見たんだぞ?関係なくないだろ?それにゆう姉って、直人の従姉じゃないか!?」
訳が分からないと声が大きくなっていく司に直人は細く息を吐き出した。
「司。灰色のコートの子がゆう姉の三年前の姿だ」
「は?」
「教えてなかったけどゆう姉は三年前、自殺した。もう死んでるんだよ」
司は目を見開いて驚きを顕にした。
そして、さらに混乱したのか目を何度も瞬く。
直人は一度目を伏せた。
「待てよ。あれが?そんなわけないだろ?だって、あの子の瞳“蒼”だったぞ?」
直人は細く息を吐き出した。
そうして目を開き手を払い階段を昇りだした。
「直人!」
「だから話さないといけないんだ」
階段の先の屋上へ。
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