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ガチャン!とようやっと扉が壊れた。
ミキと司が勢いで壊れた扉と一緒に倒れこんだ。
直ぐ様、身体を起こすが屋上には誰もいなかった。
「直人!司、さっさと立ちなさい!探すわよ!」
ミキは宵闇に染まった何もない屋上を目を凝らして人影を探した。
暗闇に紛れている。
そう信じて。
「上を見てきて!」
「わ、わかった」
ミキがさっと入ってきた階段の建物の上を指し示すと司も急いで梯子を昇る。ミキはフェンス伝いに屋上を一週する。
しかし、直人の姿はどこにもなかった。
「司!」
「……いない」
名前を呼ぶと暗い声が返ってきた。
絶望的な答えを伴って。
それに長い黒髪を苛立たしげに掻き毟る。
直人が扉を潜った直後、教室の時のように突然しまった。
二人は慌ててドアノブを回したが全く開かなかった。
叩いて、叫んで、直人に戻るように言っていたのに直人自身には一切聞こえなかった。
ただ、向こうの会話だけが聞こえてきた。それが最悪の方向に向かっていると予感したミキは扉を破壊することにした。
ミキと司の二人がかりで、使われなくなった扉ならと突進を繰り返した。
だが、開いた時には遅過ぎた。
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