自殺女神

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夕方。 雨は止んでいて雲の切れ間から橙色の光が射し込んでいた。 ベッドで雑誌を読んでいると携帯が鳴った。 三回で終わらないコールに珍しい電話であると気付いて携帯を取り開くと司からだった。 「なんだ?」 『今テレビ見てるか!?』 電話越しでもかなりの声量を出されて思わず携帯を耳から離した。 「うるさいだろ」 一度だけ抗議するために耳に近付けてからまた十数センチ離すとやはり声は普通に聞こえた。 『いいからテレビ見ろ!』 こちらの意志を一切無視しているが声からして重要なものなのだろうとベッドから降りてリビングまで向かった。 誰もいないリビングに入りテレビをつけるとちょうどニュースがやっている。 『先日、自殺した女子生徒の学校で今朝新たに男子生徒が飛び降りが起こりました。本日は生徒全員を帰宅させていましたが、つい数時間前に残っていた教師が教室で血塗れで倒れている男子生徒二名を発見。病院に緊急搬送されましたが先程搬送先で死亡が確認されました。足下には遺書らしきメモが――』 上空から学校を捕えた映像がテレビに映し出され、アナウンサーが僅かに動揺したような声で文を読み上げていた。
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