緑の傘

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それから三日。 女子生徒の自殺騒ぎはまだ収束していなかった。 神谷直人は早く落ち着けばいいのにと溜め息を一つ吐いた。 「幸せ逃げるぞ」 顔を上げるとクラスメイトの木野司がニヤニヤと笑っていた。 分かりやすく不快を表すが効果はない。 「お前みたいなのが好奇心で事件の話聞くからだよ」 「だってよ。死体目の前にあったんだろ?俺も見たかったんだぜ?」 それは好奇心と非日常の体験を求めて瞳をキラキラと輝かせていた。 体験しないからこそ言える馬鹿げた発言だ。 「あっそ」 「冷たいな~。まぁ、でも今時自殺も珍しくないか。先月も隣町の中学で自殺あったらしいし」 そういえばそんなこともあったなと読みかけの本を開いた。 が、すぐに取り上げられた。 「で、面白い話があるんだぜ?」 「本返せ」 「聞きたいよな~」 「返せ」 「では教えてやろう」 全く話を聞かないでうんうんと頷いている司に軽く苛立ち、教科書を一冊取り出して角で腹におもいっきり突いてやる。 案の定、ぐえっと濁った声を出して腹を押さえた。 「相変わらず……いい突きだ」 「どうも」
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