緑の傘

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なかなかにいいところに入ったらしく屈みこんでいる司の手から本を奪い返して軽く頭を叩いてやる。 「仕方ないから聞いてやる」 そういつもの感情があまり面に表れないらしい声で言ってやると即座に顔を上げた。 もう一発いれてやりたくなった。 「自殺した原因がいじめだったんだよ。で、そのいじめた側、確か六人が一週間後には全員自殺か発狂したんだって」 どうだすごいだろと訳のわからない自慢顔をして告げたものに目を瞬いた。 一週間に六人。 「しかも!全員が全員遺書に『僕が彼を殺しました。ごめんなさい』っていじめ認めて謝ってるんだぜ?これはあれだ。自殺した奴の怨念が」 「木野くん、煩い」 バコッと鈍い音がして司が崩れ落ちた。 その背後には箱に入れられたままの英語の辞書を片手に持った水無月ミキがいた。 濡羽色の髪をした大和撫子然とした外見にも関わらずなんとも強暴な性格をしている。 「ミキ。バカになるだろ!」 「もうバカでしょう?」 「ガーンッ!?」 直球ストレートな言葉にオーバーリアクションにうなだれる司を見下すミキ。 一応二人ともは幼なじみではあるからこれくらい日常茶飯事だ。
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