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†
――こうして僕は、女の子に避けられ続け、親友までも失い……学校へ行く意味も消えてしまった……。
これから先もこんな人生が続くならば――いっそ……。
BAD END
†
「くそゲーがぁぁぁあ!」
いきなり怒りを露わにし、発狂した僕に視線が一気に押し寄せる。
が。
どうでもよすぎる。
それよりも問題なのは、今僕がしているゲーム『僕に彼女が出来るわけがない!』、通称『にがない!』の難易度が高すぎることだった。
『にがない!』の攻略対象は5人の女の子。
委員長で慌てん坊、眼鏡の似合う深雪。
金持ちでおしとやか、高嶺の花という言葉が正にぴったりな麗香。
先輩で学校のスター、ボーイッシュな夏樹。
義理の妹、兄を慕う純真無垢な絵梨。
幼なじみでツンデレ、少しギャルっぽい遙香。
なのだが……。
「どれだけ努力してもバッドエンド! 何だこのゲーム、僕を舐めているのか!?」
誰一人攻略出来ていないのだ。
どう足掻いても辿り着くのは自殺ルート。
何回、もうひとりの僕は命を落とすのだろう。
僕まで死んでしまいそうだよ、馬鹿野郎。
「啓くん」
「何だよ、千鶴姉……僕なんか放っておいてくれ……どうせ、誰も僕のことなんか――」
「そうじゃないですよ~。取り敢えず廊下に立ってて下さいね~」
今は授業の最中でしたね。
忘れてたよ。
†
そんなやり取りがあって、僕は今、廊下に立っているわけである。
あの忌まわしきイベント、通称『学園新聞事件』を終えた僕は見事に、以前の自分を取り返すことに成功していた。
晃や花村、桂木とは未だに交流があるが、以前ほど僕にリアルへの回帰を促してはこない。
非常に満足な学園生活である。
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