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観音様は私に袈裟と錫杖を与えてくれた。
これが三蔵法師の正装か。
だけど…私はふと思ったことがある。
彩華「あの…観音様、失礼を承知でお訊きしますが…先がお視えになるならば、私などのお力がなくとも貴方様のお救いの手でなんとかなるのでは?」
観音様は人を救い、万人の声を聞くと言われている。
天界においても上の方のはず。
なのに、私のような人間に世界を救わせようなどと…何故思ったのか、私には不思議でならなかった。
観音「うむ、当然の疑問だな。我だけではないが、天界の者は人界に対して過度な干渉…つまり手助けは許されてはいない。これは天界で定められた規律なのだ」
彩華「そんな…」
観音「だが、人の進むべき道を導くということで、多少なり助力することができる。だから我はここに来たのだ。そなたの道を指し示し、救う為に」
過度な干渉は許されずとも、導き…手を差し伸べることはできる。
観音様は、最大限の救いの道を…私に示してくださっている。
世界を救う道が、それしかないならば…
彩華「…今一度、私の決意が固まりました!三蔵法師として…旅に出ます!」
観音「迷いが消えたな。それでいい」
手を差し伸べられているのに、その行為を無駄にしたくない。
私にしかできないならば…やり遂げてみせる!
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