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どこでもドアは、目的地を指定した瞬間から向こうにも同じ扉が現れる筈だ。
「はい、行った行った」
「は、はい……」
アニエスもようやく心が決まったのか、ゆっくり扉を開いた。
俺とロランも後に続く。
「は?」
これは俺だ。
どこでもドアを抜けた先にあったのは、広々とした場所だった。
造りは聖堂に近いが、長椅子や像が置かれていない。
中央には真紅のカーペットが敷かれ、最奥には豪華な玉座が二つ。一つには王冠を被った赤髪の男性。
もう一つには若々しい女性が座っている。どことなくアニエスに似ている気がする。
どちらも神人族のようだ。
「ただいま戻りました。お父様、お母様」
「アニエス!?アニエスなのですか!?」
玉座に座った女性がアニエスの名を呼ぶ。
「はい、お母様!」
フードを取って花のような笑顔を浮かべるアニエス。
「本当にアニエスなのか……?一体……?」
男性も目の前の事実が信じられないみたいだ。
と言うか、その前に……
「周りの兵をどうにかしてくれ!」
俺だけ兵に囲まれて剣やら槍やらを突き付けられてるんだぞ!?
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