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しばらくすると、エリーナは山のふもとの井戸の近く着いた。
しかし、そこには彼女よりも先に水汲みをしている人がいた。
「この私よりも先に来て水汲みするなんて…一体誰かしら?」
近づいて行ってみると、そこにはいたのは彼女のの良く知った顔があった。
「早いねーそこの少年!」
エリーナは、そこにいた少年の後ろから元気よく声をかけた。
「あっ! って…エリーナ?」
「おはよー! ジャック。今朝は早いじゃない!」
少年は、いきなり話しかけら、驚いていた。エリーナをちらっと見て答えた。
「ああ…。 今日はなんだか早く起きちゃってさ…。 ていうか…何でそんなに息切れしてんの?」
「えっ! あは、あははは…。えっとー、走ったら暖かくなるかと思ったから、家から走ってきたのよ。」
「ふーん。そっか。 早く水汲みしたら?」
「そうね!」
そう言ってバケツをフックに引っかけようとしたが、さっき走ったせいで、余計に手が冷えてしまって、思うようにできない。
「あーもう! あったまにくるんだから!」
自分の手をさすったり、息を吹きかけてみたものの、全く効果がなかった。
見ると、自分の手は冷えて赤くなっている。
「貸して…。バケツ。俺がやるから。」
「いいの? ありがとう。」
少年は、エリーナのそばにおいてあったバケツを手に取り、すばやく水を汲んだ。
「はいよっ。」
そして、再びエリーナの足元にバケツを置いた。
「どうもありがとう。」
「ほら、行くぞ。」
「あ…。 でもまだ手が麻痺してるみたいだから、ジャックは先に帰ってていいよ。」
「はぁー。しょうがないな。お前の手が治るまで俺が持ってってやるから、早く行くぞ!」
少年は、エリーナのバケツを持ち上げると、早歩きで道を引き返していった。
「ちょ…ちょっと待ちなさいよー。ジャックー!」
思いっきり叫んでみたが、少年は全く聞かず、どんどん先に行ってしまった。
「はぁ。しょうがないわね。」
エリーナは諦めて少年のあとを追った。
しばらくし、エリーナは少年に追いついた。
しかし、また走ったせいで、元のもくあみになってしまった。
「はぁ…はぁ。もう! ジャック! なんでまた走らせんのよ!」
「ぷっ。 お前ってほんとに変なヤツ。」
「ちょっと! からかわないでよー! 私を走らせたのはどこのどいつよ。」
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