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「許せ…親友……」
泣いて馬謖を切り捨てる思いで俺達は校門まで走った。
「やべぇって!完全に遅刻じゃねーか!」
確かに…蛯沢の言う通り閉門まで後15秒…マサムネでも間に合わない距離だ。
「塀を飛び越えるぞ、坊主?」
錆びた鉄が擦れる音と共に鉄の校門が閉じる
「よっしゃ~いくぜぇ~」
蛯沢が脱兎の如く駆け出し、マサムネの肩に飛び乗り、学園を囲む塀を軽々と越える、エビのくせに身軽な奴だ。
「よっと…」
蛯沢に続いて俺もマサムネの肩にのり、塀を越えた。
「成功だな?」
マサムネは軽々と塀に飛び乗る、流石は水泳部期待のホープだ。運動神経は恐らく学園でも五指に入るであろう、マサムネは俺達の誇りだと思った。
「どうした坊主?惚れ直したか?」
マサムネの顔が俺に急接近する、俺が真っ当な男で無く、道を踏み外したなら間違いなくこの男と突きつ突かれつの仲にまで発展していただろう
「何はともあれ、ホームルーム迄は大分時間があるな、ゆっくり行くとしますか?」
俺は蛯沢とマサムネの肩を抱き、真っ直ぐ校舎に向かおうとした。
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