暗示。

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―え~っと、なになに? まず、テストのタイトルからして数学とは違っていた。 「日本史A、幕末テスト」 はあっっ!? ぼ、僕は日本史のテストなんて受けようとしてないぞ!? ―こ、これはきっと先生が配り違えたに違いないっ! タイトルから違うという事は、問題の中身は思い切り日本史、の筈。 時間が無いので全てを見る、なんて事はしないで取り敢えず交換してもらう事にした。 「せ、先生」 微かに出した声は、何故か震えていた。 「ん? どうした、葉山」 先生が僕の机の近くへと来た。 僕は制限時間の事を考えるとあまりゆっくりもしていられない、と思い、急いでゴビ砂漠にテストを見せる。 「僕のテストだけ何故か日本史なんです。 数学と交換してもらえませんか?」 皆が息を詰める、いや、堪える音がした。 多分、僕の不幸を笑っているのだろう。 先生は、僕のテストを眺めている。 ―早く、早く…。 時間が無くなるじゃないか!
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