暗示。

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先生は僕のテストをまじまじと見てから、冷たく言い放った。 「葉山、一体どうしたんだ? これは正真正銘数学のテストだ。 そもそも、これは俺がさっき印刷室で刷って来たんだぞ。 白紙があるのは分かるが、違う教科のテストが混じるなんて考えられない。」 先生は複雑な顔をしている。 まるで、コイツは何を言いたいんだ?と言うような。 「でも先生、ここに日本史A、テストって書い…」 「葉山っ!」 ゴビが大声を出した。 「変な事を言って場を乱すな! あとでクラスメイトに見せてみろ、皆口を揃えて数学のテストだ、と言う筈だからな。 それでも不服なら、印刷室のコピー機に文句でも言いに行けっ!」 先生はいつもの特徴である、語尾を長く伸ばす癖がすっかり消えていた。
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