無い。

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「これ、何のテストだっけ?」 隣の席のヤツに声をかけた。 「はぁっ? お前、何言ってんだよ。 今はゴビ砂漠がいるから数学のテストに決まってんだろ?」 ヤツは目を見開いて絶叫に近い声を出す。 ああ、そうだった。 ゴビ砂漠は数学の先生だった…。 今日は、何故か頭が働かない。 「今からテストだぞ。 流石にそれは分かってるよな?」 隣の席の端川仁(はたかわじん)に奇妙な目をされた。 切れ長の目で、異様な威圧感がある。 「それは大丈夫。 自覚は持ち合わせている」 「まぁ、お前は俺と違って数学が出来るから、抜き打ちでも問題無いよな」 苦笑いをしながらそう言って、端川は前を向いた。 僕は基本理系の人間だから、数学は得意である。 但し、国語とか地理、歴史の類いは全く分からなく、お手上げ状態になってしまっている。 だからと言って、文系科目を勉強する訳でも無く、苦手なままでも良いかと甘えてしまっている。 国語は必要にしても、どうせ社会系統は今後の人生に必要無いだろう…。 「は~い、配る~。 静かにする~」 先生が用紙を配り始める。 げっ、意外と大きいサイズ…。
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