無い。

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字を透かして皆より先に問題を見てしまおう!という訳ではないが、僕は裏返しのプリントが気になり、必死で書いてある字を読もうとした。 ここまでテストのプリントが大きいと、逆に何が書いてあるのか気になってしまう。 しかし、机は光を透過する能力を持っていない…。 努力虚しく字は読めなかったが、その代わりにある事を知ってしまった。 ―や、やけに密度が濃いっっ! 何やら、びっしりと文字、あるいは数字、あるいは記号が書いてあるような気配がした。 計算問題でも、通常は設問と設問の間に多少の隙間があるものだ。 所が、その隙間さえも全く見当たらないという大ピンチ。 ただ僕の透視が下手なせいでもあるだろうが、あの密度、文章が綺麗に並んでいるような気が…する。 ―まずい、これはタカをくくり過ぎていた。 制限時間にもよるが、果たして僕は全ての問題を解く事が出来るのだろうか…。 頭の中は、プリントをめくった瞬間に与えられる衝撃度に応じて様々な対処法を編み出す為に、フル回転を始めていた。 ―よし! 点数が高そうな問題から取りかかろう! やっと考えが全てまとまったその時、ゴビ砂漠がスタートの合図をかけた。 「えい、始めっ!」
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