二つの国

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それでも、いつかイレーネが世界中の人々を救う存在になる。ローウェルはそう信じ、イレーネのメンテナンスを怠らなかった。  すると、白衣のポケットに入れていた携帯電話が振動し着信を知らせる。何事かとディスプレイを見れば、“大佐”の表示。 ローウェルはあわてて通話ボタンを押した。 「もしもし?」 「ローウェル、私だ。今時間はあるか」 「お久しぶりです。今ですか?大丈夫です。何か?」 「今から言う場所に来て欲しいんだが」 「構いませんが…」 「突然すまないな、じゃぁ」 電話の向こう側でガサッと紙の音がする。
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