二つの国

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◆◇  研究所の前に車が停まり、白い手袋の男が扉を開ける。 ローウェルはといえば、一応白衣はマズイかと考え、久方ぶりのスーツに袖を通して心の準備をしたものの、やはりいざ移動するとなると緊張してしまっていた。 隣でエクリュが心配そうにしている。 「ローウェル……あなた、何かしたの……?」 「そんなのおれが聞きたいよ……イレーネ関係だとは思うけどさ……」 「いってらっしゃいませ 所長」 淡々と言ってくれるイレーネの声で少し和らいだが、やはりなんとなく気は重い。
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