二つの国

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彼らの仲は良い。 かつては仕事終わりに呑みに行ったりだとか、たまの愚痴なんか言い合ってみたりだとか、非常に良好な友好関係にあった。 ローウェルが懐かしい想いを噛み締めていると、大佐がスッと口元に手を当て、声を潜めた。 「……覚悟しろよ」 「……? どういう…?」 「そのくらい馬鹿げた事をこれから言われるという事だ。私も驚いた」 「はあ……覚悟します」 「ああ、じゃぁ行こうか」 ローウェルはその胸に、緊張と恐怖と不安を抱えながら、大佐の後について官邸へと入って行った。
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