二つの国

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◆◇  その扉の前に立った時、ローウェルはもう頭の中がぐっちゃぐちゃになっていた。 隣で手のひらに人という字を三度書いて飲み込んでみたり、首の後ろの緊張を解すツボを押してみたりとソワソワして落ち着かないローウェルを、大佐が半ば呆れたような目で見ている。 「大尉、お前散々国の偉い人には会ってきただろう」 「大統領となると流石に……ひっ、ひっ、ふー」 「何を産むつもりだ」
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