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声がした……
ぼ、僕以外に人がいるんだ……
横に倒れ、ぐったりとした彼の目には映りしは、二つの足。
「ひ……と……」
そう認識する。
次に足の主はゆっくりと、しゃがんだ。
……この息遣い……女の子?
消えかけた燦の意識に、二つのものが認識された。
一つは剣だった。
見間違えるはずはない、あれは白銀に輝くソードだ。
薄れゆく意識の最中、思った。
恐らく、右の手で持っているのだろう。
二つ目は左手に持つ、盾だ。
紋様を複雑に彫られた、盾だ。
どこの人なんだ……
おや……盾を、置いたぞ。
今……僕の頭に……
その人は彼の髪にそっと手をしのばせた。
振りほどく気力はもう既にない。
見知らぬ何かにこんな事をされているのに……
すると、しのばせた手が真っ青に光り始める。
温かな温もりが拡散する。
すぐに感じた。
苦しみが癒されていく感覚。
気持ち良い……
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