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手から伝わる波動のようなもの。
ーーそうか、あなたは……あなたは天使様なんだね……
もうどうでもいいや。
どうでもよくなる程、この感覚は燦から苦しみを取り去っていった。
人間にとって、苦しみが和らいでいくと言うのは至高の快楽なのだ。
天使に見えてもおかしくないのかも知れない。
喋る気力を回復させた事を確信する。
「あ、あの僕は……死んで、死んでしまったんでしょうか……」
意外にも、返事は早かった。
「死んでないよ」
そ、そうなのか……
「じゃあここは、天国じゃない……」
身体が動かせる。
お顔を拝見する。
上体を両腕で起こし、自身の興味心に従い、その顔を見上げた。
うん。
仰天だね。
女の子が鋭そうな剣とゴツい盾のようなものを持ち、やんわりとした感じでつったっているのだ。
ぼんやりしてるけど、どこか強い意志を秘めているのを感じさせる瞳。
端正な輪郭に小さな口。
作り物のような、白銀の長い髪。
どこの国にも分類されない、見たことない感じの人。
まるでお人形のようだ。
スーパードルフィーというのが、まさにそれである。
ますます夢なのか夢じゃないのか、分からなくなっていく。
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