表裏一体 ~chapter1~

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「忘れ物だ」 「僕には必要のないものだよ」 「だったらいっそ、あなたにあげますよ」 「……忘れ物だ」 人見知りな方ではない自分が、これほどまでの近寄りがたい人間に会ったのは、そうそうない。 「持ってけって……そういう意味ですか」 腰を曲げて柄を掴み、拾う。 「こんなもの拾ったってなんにもならないですよ。貴方もその変なやつ置いたらどうですか。」 「……」 男はなにも言わなかった。 ただ笑みを浮かべる。 しかし。 その表情を崩さぬまま、こう言うのだ。 「……発見」 と。 「何を言って……」 その黒い声と言葉に怯えを知った瞬間、いや。 刹那的一瞬だった。 「なっ……!」 鎌の先端は果たされた役目を無慈悲にこなしていた。 「ヒト、サヨウナラ」 腹と背中を行き渡る痛みに、燦は対応しきれない。 「えっ、ばっ…!キミだって……にん……!」 心と身体が交差しない。 ーー確かに怪しいなコイツとは思っていたけどさ、これは無さすぎるよ……! そのまま地べたにうつ伏せで、崩れ落ちる。 「う……くっバぁ」 剣と隣同士、倒れてしまった。 「殺すのは、人間」 紅が薄い血を、横に溢れるほど流したまま…… 負った傷の深さが絶望の世界へ誘いをかけていた。 「うっ、ぁああ……」
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