#01 紺碧の絆

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「っ……」  数分後、涼子はゆっくりと目を覚ます。辺りは既に薄暗く、淡く街灯が光り始めていた。 「身体は大丈夫ですか?」 「あ……うん。……治ってる」  受けた傷のあった右腕を見ながら、涼子は少し驚きながらも冷静な何時もの表情へ変わる。 「ありがとう楓」 「……! どう致しまして」  柔らかく、優しい笑みと感謝の言葉。そして名前を呼んでもらえた事に楓は嬉しさを感じた。 「あの、涼子先輩」 「ん?」 「大丈夫ですか?」 「頭の中を過去の……オリヴィアの記憶が一瞬で駆け巡って……勝手に身体が動いてた。靄が掛かって周りの人の顔ってのは分からなかったけど、楓の……サラ・イクテュエスの顔だけはハッキリしてる」 「サラはサラ、私は私です。先輩は私が守ります……だから」 「私だってこんな危険な事を楓1人にさせる気はない。オリヴィアの意志を無駄にはしたくないし」 「意志……」  オリヴィアの意志とは何か。訊きたい楓だったが思いを押し留めた。 「暗くなったな……帰ろうか?」 「はい!」  涼子と楓の姿は公園から消え、明かりが遊具や樹木を照らす。その樹木の陰から椿専門高等学校の制服を着た少女と、長身の眼鏡をかけたスーツの男性が姿を現した。 「まさかとは思ってたけど……」 「そうですね。一気に3人もエレメントが現れるなんて」 「涼ちゃんは貴方の部の部員だからしっかり見張るのよ?」 「貴女こそ……鳳さんと同じクラスでしょうに」 「勿論目は離さないわよ」
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