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「はい、あげる」
教卓の目の前まできた月に差し出されたのは、緑の封筒。
最前席の生徒から、後ろに伝達されるにつれて、騒めきが大きくなる。
「こ、これは……」
「ラブレター、受け取れ。良い返事、期待してる」
悪戯な笑みを浮かべた。
月の耳には入っていなかったが、大方の女子が黄色い歓声のような、悲鳴のような声を上げていた。
対して、男子達の声は沈んでいた。
フラフラとした足取りで、自分の席に月が戻った、三分後くらいに、鳥の鳴き声が鳴った。
「じゃっ、しっかり頭に入れとくように。
号令――」
こうして、一騒ぎした授業は終了した。
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