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胸にしがみついていると、
薫は急に立ち上がって
軽々と私を持ち上げた。
お姫様抱っこ。
初めてではないけど恥ずかしいような、
でも、やっぱり嬉しい。
しっかりと私を抱く腕には
不安などまったくなく、
むしろ安心して身を任せられる
頼もしい腕。
益々、好きの温度が上がってしまう。
薫は私を抱き抱えたまま、
器用にベッドルームのドアを開けて
入って行った。
ベッドに下ろされると横に座り、
また、
大きな瞳で私を見つめている。
優しく髪を撫でながら、
耳元に顔を寄せて囁いた。
「萌実、愛してる。」
私は、もう魔法にでもかかったように、
全身の力が抜けてうっとりと、
薫の言葉を聞いていた。
そんなこと言われたら、
私、溶けちゃうょ、薫。
「愛してる」
瞼を閉じた頭の中で
何回も繰り返し木霊する、
その嬉しい言葉を噛みしめた。
すると、思わず薫の指先に反応して、
ビクッと全身が震えた。
私は心も身体も薫に愛されたいと
自分でも驚くくらい
欲張りになっていた。
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