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すると、
後ろから聞き慣れた愛しい声がした。
「おはようございます。」
薫、さっきまで一緒にいたのに
思わず腕に飛び付きたくなり、
手を伸ばしそうになる。
そんな衝動にかられながら
ダメだと自分に言い聞かせ、
おきく息を吸い込んで
心を落ち着かせた。
薫はまた私の前に立ちはだかって、
私と内田主任の間に割り込んで来た。
やっぱり私が内田主任と
話しているのが気に入らないのか、
無表情な横顔で
こっちを見ようともしない。
背中からすねている様子が感じ取れる。
いつも大人の薫が
そういうところだけは、
だだっ子のような一面を覗かせる。
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