第一章 ―出逢い―

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―やがて 慌ただしく 廊下を走る音が聞こえ 障子が勢いよく開いた。 小麦色に焼けた肌に 汗を光らせ 少年が 瞳を震わせ 立っていた。 海である。 苦しげに呻く 陸の姿に 海は 声を震わせ 駆け寄った。 「陸!どうしたんだ!?」 布団の側に座り込み 声を上げる海に 夕霧は 静かに言った。 「雨に打たれて 風邪をこじらせたのだ。」 それを聞き 海は キッと 夕霧を睨んだ。 「何で こんなになるまで 知らせてくれなかったんだ!」 「…無理に動かしては 良くないと思ったのだ。家を尋ねるのも 意識が朦朧としていて 聞き出せなかった。」 海は 瞳を震わせると グッと 唇を噛み締めた。
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