第二章 ―抜忍―

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声を上げたのは 如月だった。 「鷹丸だと!?それは 誠か?」 瞳を震わせ 尋ねる如月から 顔を背けると 美雪は頷く。 如月は 拳を握り締めると 下唇をきつく 噛み締めた。 月影は 声も出せず ただ 驚いた顔で 美雪を見つめていた。 鷹丸と如月が 密かに 付き合っていることを 月影は 知っていた。 知っているだけに 今の如月が どんな気持ちなのか よく分かった。 美雪は 多分 知らなかったのであろう。 月影は 話を変えようと 苦笑した。 「そうだ!そなた達に 何か良い物をやろう。この間 里に行った時に 買った物だが…。」 そう言って 立ち上がった月影に 如月は 静かに 口を開いた。 「月影…。私が 女を教えてやろうか?」 「えっ?」 月影は ドキッとなり 如月を見つめた。 如月は 美雪の方をきつい眼差しで見た。 「美雪。月影と 二人っきりにしてくれぬか?」 「あっ…ああっ。」 美雪は 慌てたように 立ち上がり 部屋を出て行った。 如月は スッと 立ち上がると 月影の前に立つ。 月影は ユラユラと揺れる 如月の瞳を見つめていた。 「月影…私を抱いてくれ。」 如月の言葉に 月影は ハッとなり 声を上げた。
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