第二章 ―抜忍―

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鷹丸は 皆の方を振り向くと こう言った。 「自己紹介をしてもらおうか?」 その言葉に 月影は にっこりと微笑む。 「私は 月影と申す。」 「月影は 頭領の一人息子だ。」 鷹丸が言うと 月影は 少し 頬を染める。 「頼りない息子を持って 父上も お気の毒だ。」 それを聞いて 皆は 声を上げ笑う。 「あたしは 美雪。雪のように白く 美しい女。甲賀では 一番の美女だ。」 美雪の言葉に 如月は フンッ!と 鼻で笑った。 「自分で言うと 嘘に聞こえるぞ。容姿は 確かに綺麗だが 心の中は 泥沼のように 汚れているではないか。」 「何!?」 キッと 如月を睨む 美雪を押さえ 鷹丸は 苦笑する。 「何しろ ここには 女が二人しかおらぬからな。競争が 激しいのだ。」 いがみ合う二人に 冬夜は 微笑み呟いた。 「二人共 変わらぬぐらい…綺麗だと思う。」
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