第二章 ―抜忍―

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―部屋にある 鏡の前で 櫛で髪をとかしていた如月は スッと 障子が開いたのに 鏡で そちらを見た。 鏡に映った鷹丸の姿に 再び 髪をときだす。 障子を後ろ手に閉め 如月の背後に立つと 鷹丸は 鏡に映った 如月の姿を見つめた。 「美雪と…何かあったのか?」 その言葉に 如月は 手を止め 俯いた。 「別に…。」 小さく呟く 如月の肩に そっと 両手を置く鷹丸。 その側から サッと離れると 如月は 持っていた櫛を 壁に向かって 強く投げつけた。 小刻みに震える 如月の肩を見て 鷹丸は 軽く息をついた。 「何を そのように 怒っておるのだ?あまり怒ると 可愛くなくなるぞ。」 そう言った鷹丸の方を キッと 振り向くと 如月は 怒鳴った。 「どうせ 私は 可愛くはない!美雪のように 髪は 黒くないし 胸だって 豊かではないからなっ!」 今にも 泣き出しそうな 如月の瞳に 鷹丸は 眉を寄せる。 「何故 そう美雪と 己を比較する?」 如月は キュッと 下唇を噛み締めると 震える声で呟いた。 「…美雪と 寝たのだろ?」 「何!?」
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