第二章 ―抜忍―

16/18
前へ
/67ページ
次へ
如月の言葉に 鷹丸は 驚き 声を上げた。 顔を背け 如月は言う。 「美雪が 言っていた。…お前と 寝たと。」 「……。」 しばらくの沈黙が続き 鷹丸は ゆっくりと 口を開いた。 「お前は どのように 思っているのだ?」 「…えっ?」 如月は 声を上げ 鷹丸を見つめた。 「俺のことを そのように 見ておるのか?女ならば 誰とでも 寝る男だと 思っておるのか?」 真っ直ぐに見つめる 鷹丸の瞳は 厳しく 如月は 息を飲んだ。 「…私だって 信じたくはない。けれども 美雪は…色気があるもの。男ならば…。」 「俺は 外見で 女を好きにはならぬ。そのようなことで お前を愛したのではない。」 そのようなことは 分かっていたはずである。 だが 如月も 女なのだ。 鷹丸を愛するばかり 余計な疑いを持ってしまう。 悲しいかな 女の性。 愛する男の為には 友と争いもするし 嫉妬もする。 如月は 肩を落とすと フッと 息をつく。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加