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「……どーなってんだ、こりゃぁ?」
現在、忍は家の外に出て周囲を適当に走り回ってみている。
当初、バイクで動こうと始動させてみるも全くの無反応。セルモーターすら回らない状況であった。
他にも始動方法を試すも点く気配は全く無し。
よってバイクでの移動は諦め、自分の足で近所を散策することにしたのだった。
「街灯は点いてるが、屋内の電灯は点いてないみたいだな……てか、それより」
そこで忍は一旦言葉を切った。
そして自分の考えをもう一度確認するために辺りを見回してから、再度虚空に向けて言葉を発する。
「人のいる気配が全く無い……」
発してしまってから思い直す、あるワケが無いと。
いや、あって欲しく無いというのが本心なのかもしれない。
しかし、忍は無意識に必死に、前者を頭に留める。
その考えを肯定しようとする証とばかりに、再び先へと歩を進め始める。
しかし――
「……っ!」
――無常にもその行動は、後者の肯定材料を見つける事になる結果しか生まなかった。
「なんでだよ……」
そこは深夜のコンビニ。
この時間でも、いつもなら若者が立ち読みをしたり、たむろしていたりもする。
たまに終電帰りのサラリーマンが弁当を買いにも寄る。
何より、やる気なさげな顔をした深夜帯の店員がいないということは確実に有り得ない。
しかし現状、有り得ない事が有り得ている。
その状況に忍の思考は止まり、焦りは加速する。
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