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誰にも素直になれず、ギスギスとした空気が日を追う毎に強くなっていく。
会話がないまま数日が過ぎた頃、いつものように遅く帰り、ただいまも言わずに自分の部屋に入っていくと、ベッドの上に小さな膨らみが見えた。
その大きさから、一つの推測が頭に浮かぶ。
そっと近寄り、掛けられた毛布を少し下にずらすと、やはり隆が小さな寝息を立てて眠っていた。
ピスピスと時折鳴る鼻音と、白くて柔らかな頬を濡らす筋で、隆が泣きながら寝ていたことに気付く。
それを見た時、今までにない罪悪感が胸の内に広がり、思わず涙が込み上げてきた。
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