2.幼なじみの男の子

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 ――昌が小学校に上がった年、隣に住む家の若夫婦に男の子が産まれ、隆と名付けられた。  若くて綺麗な隆の母親に、一人っ子の昌は相当に懐いており、「美晴(みはる)ちゃん」と呼んでは姉のように慕っていた。  その美晴が里帰りから帰ってきて、腕に抱いた隆と初めて対面した時、昌は自分に弟が出来たような気持ちで非常に喜んだ。  昌が通っていた小学校は、自宅から1km弱と距離があり、バスか自家用車が専らの登下校手段だったため、放課後に友達と遊ぶことは滅多にない。  そんな事情もあって、昌は隆の面倒を良く見ていたし、隆も昌には本当の姉のように懐いていた。
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