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その後、昌が中学高校と年が上がるにつれ、家で過ごす時間は少なくなっていき、食事時と夜しか家にはいなかったのだが、そうしたわずかな時間にも隆はよく昌に会いに来た。
女の子のように小柄で愛らしく、昌の後ろをついて回る隆はとても可愛かった。
そう思う一方で、ここまで慕われると、思春期の頃はどうにも煩わしく感じられて、隆が来ても諦めて帰るよう、わざと遅い時間に帰っていた時期があった。
家に帰ると、親に「今日もタカちゃん来てったわよ」と言われる度、チクリと胸の奥が痛んだが、それよりも責められてるような苛立ちの方が強く沸き起こり、親にさえも不機嫌な態度で当たっていた。
家に帰っても真っ直ぐ自分の部屋に入り、ご飯とお風呂以外は親と顔を合わせず、最低限の返事だけで済ませた。
そんな初めての反抗期のキーワードが隆なのだと気付いていたのか、その間隆の話題には一切触れなかった。
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