2.幼なじみの男の子

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 ともかくこの頃は社会人成り立てで落ち込んでいる余裕はなかったし、却ってそのゴタゴタで失恋の傷心を誤魔化していたようにも思う。  一年目が過ぎる頃、桜の木を眺めながら一度だけ泣いた。  大切な場所を離れて選んだのは自分なのだから、ここで頑張らなければならない。  そう思ったとき、不意に隆の顔が頭に浮かんだ。  あの時だけは、彼よりも、あの満面の笑顔にもう一度会いたいと、泣きながら一瞬だけ願っていた。
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