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「君たち一年生諸君にはこの常陽学園の新たな希望として三年間の……」
今日は四月一日。
今俺たちは満開の桜の木に囲まれたグラウンドで入学式をしている。
立ちっぱなしで。
入学式が始まってもう四十五分。その間俺たちはずっと立ちっぱなしだ。正直言って辛い。
(クソッ。こういう入学式とかって普通体育館に椅子並べてするもんだろ……)
なんて愚痴っていても仕方無いので校長の長話が終わるまで少し身の上話でもするとしよう。
俺は霧谷真一(きりたに しんいち)。
もう既にお分かりだと思うが今年で高校一年になる。
そして、私立常陽学園。
それが今春俺が編入学した高校だった。
『編入学』という言葉に疑問を持った人も少なくないだろう。
この私立常陽学園は中等部、高等部の二種類がある。要するに中学校、高校の一貫教育制というやつで、普通なら中等部から高等部に進級するのだが俺は高等部からの編入学。
小学校はこの地元の小学校に通っていたのだが俺が中学に入学する年に親が急に転勤になり、家族で引っ越した。
そして俺が高校に入学する年に俺がまた転勤になり、この町に戻ってきたという訳だ。
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