にくすの事情

3/5
前へ
/85ページ
次へ
呼び止められ振りかえると、ミチカという知り合いの女性がいた。 「久し振りね、にくす。元気にしてた?」 ミチカの問いかけに、一回頷く。 「ならいいの。……あぁ、そうだわ。さっき黒に会ったんだけど、にくすを探してるみたいだったわよ?」 ミチカの言葉に、目を見開いた。 「ふふふ。喧嘩でもしたのかしら?」 図星だ。 未だにクスクスと肩を揺らすミチカを睨むと、携帯が鳴った。 ……マキナからだ。 「あぁー!ちょっとニクスぅ!!」 マキナの高い声がきーんと耳に響いた。 「何よ」 「何よ、じゃないし!ニクスってばクロとけんかしたでしょぉ!?」 図星だ。 「だから何」 「開き直んなし!クロ超キレてるし、恐いし、八つ当たりされたしぃ!」 電話口でわんわんとマキナが泣き叫ぶ。 「いいから早く仲直りするし!これ以上八つ当たりされたらたまんないしぃー!!」 .
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

592人が本棚に入れています
本棚に追加