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あれは去年の冬頃のことだ。
私と楓は買い物をしていて、その帰りに地下鉄に乗ったんだ。
けっこう混雑していて、痴漢も何人かいたんだろう。
事実、私のスカートに手をかける輩がいた。
もちろん、その手を掴んで安全ピンでめった刺しにしてやったがね。
しばらくして、隣にいた女性が、私の後ろに立っていた男の手を掴んで
『この人痴漢です!!』
と叫んだ。
私もさすがに驚いてね。痴漢扱いされた男を見ると知った顔だった。
同じ学校の制服だった。確か、名前は田代と言った。
田代はパニックになってオドオドしていた。
周囲はゴミを見るような目だった。
しかし、私にはどうも痴漢をするような奴には見えなかったのだよ。
すると楓が『あの人、痴漢じゃないよっ。だって両手でiPod弄ってたもん』
と言った。
その言葉で私は田代を助けようと決心し、
『その男は痴漢ではない』
と擁護した。
すると痴漢されたという女性が
『なんで庇うの!?私はっきり見たわよ!』
とヒステリックに反応してきた。
私も同じ女だが、ヒステリーで騒ぐ女は嫌いだ。
そこで私はこう言った。
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