第一章 前島ハルの一日の始まり

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―――6月25日 8時03分 やぁやぁ、読者諸君。俺の名前は前島ハル。普通の高校生だ。  俺の通ってる高校はよく奇妙な事が起こる。 つーか、町自体が曰くつきで、そういうオカルトな話が絶えない。 俺はそういうオカルト話が嫌いなんだけどね。残念なことに。 奇天烈な場所には変人も多いわけで、そいつらは日常に溶け込んでる。 いや、むしろ浮いてるな。うん。 あぁ、ほら見てみろ、言ってる側から、俺の横を食パンをくわえた女子高生が 「遅刻、遅刻ぅ~」 と叫びながら角を曲がろうとしてる。 一昔前の漫画である展開や。 聡い読者諸君は、この後何が起こるか分かっているだろう。 案の定、食パンをくわえた女子高生は角を曲がろうとして、向こうから来た男にぶつかってしまった。 女子高生は 「きゃんっ」 と可愛らしい声を出すのを忘れない。 そして同じくぶつかり倒れた男性は、ゆっくりと立ち上がり、倒れている女子高生に近づき、こう言った。 「このクソアマッ!男が走ってる時は死ぬ気で避けやがれ!!去ね!!」 男はとんでもない悪態をついて去って行った。 まさかの斜め上の展開だよ! 女子高生は放心してるし。 てゆーか、言ってなかったけどコイツ、クラスメイトで幼なじみです。 名前は楓。 コイツはこういう事を頻繁にやってるイタい子で、 この前なんか警官に突っ込んで行って危うく交番に連れてかれる所だった。 生粋のアホの子なのだ。 「楓(かえで)、大丈夫か」 「なんで……」 「え?なに?」    
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