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「なんで! なんでなの!?
なんで、カッコいい男の子とぶつかって、
その後転校生として再開して恋に落ちるみたいな事が起きないの!?
ねぇ、なんでよ!」
お前の頭が電波だからだよ!!
「現実を見ろ!地に足をつけろ!」
俺は思わず、夢を追いかける息子を叱る父親のようなセリフを吐いた。
楓は肩をふるわしながら俺を睨んだ。
「いいじゃないっ!そんな現実を望んでもっ!夢見てもっ!
女の子だものっ!私、女の子だものっ!!
ハルの馬鹿!むしろあんたなんか夏よ! 」
むしろ夏ってどんな文句だよ!
楓は走り出して10mおきに、ばーかばーかと叫びながら去っていった。
どうせ学校で会うんだけど。
楓に八つ当たりされた後、いつも通りの道を歩き、
神隠しを噂される神社を横切り、
夜中にすすり泣く伝説がある桜の木を眺めながら学校へ向かう。
俺の朝はこうしてスタートするのだ。
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