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【今宵十時に“クリスタルドロップ”を頂きに参上します――――ツバメ】
「………さて、行きますか」
彼女はマスクをぐいっと引き上げ、颯爽と身をひるがえした。
「待て!ツバメ!」
「待てと言われて待つわけないでしょー?」
藤元刑事がツバメに気付いたときには、すでに“クリスタルドロップ”は彼女の手中にあった。
“クリスタルドロップ”は水晶の結晶だ。とても純度が高いそれは、神秘的な輝きを放っている。
今回のツバメの狙いはその水晶を奪うことだった。
「くそっ!すばしっこいやつめ!」
藤元刑事は悔しそうに吐き捨てる。
まだそれほど走っていないのに、すでにツバメと藤元刑事の距離はかなり離れていた。
「……!!ツバメがいたぞ!」
その時、偶然にも他の警察官たちがツバメの前に立ちはだかった。
ここは一本道の廊下で、逃げ込めそうな場所といったら部屋しかないが、藤元刑事はこれを見越してすべての部屋にカギをかけていた。
(よし!挟み撃ちだ!逃げ場はねえぞツバメ!)
藤元刑事は心の中でガッツポーズをする。
………しかし。
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