13人が本棚に入れています
本棚に追加
「城!送るから家教えて?辛いだろ?」
「ダメ……」
どうしてここまで頑なに拒否するのか、優はわからずに困惑する。だからといってここに放っておくなんてできるわけない。
悩んでいる間に、あやめはとうとう意識を失ってしまった。優は慌てる。
「とりあえず、病院……!」
救急車を呼ぶ、なんて手段は思いつけなかった。ただただ慌てて、優はあやめを背負って近くの病院に走った。
「落ち着いてきましたね。点滴が終わったら帰っていいですよ」
「ありがとうございました、先生」
優は頭を下げる。
今、あやめは点滴を受けながら眠っている。
「城さんは喘息持ちですかね?」
「……さあ、俺も詳しくは。ただのクラスメイトなんで。学校で発作を起こしたことはないと思いますけど」
そう言うと、医者は少し目を丸くした。どうやら兄弟かなにかだと思っていたらしい。
「そうですか……。最近無理をしている様子はありましたか?」
「特には……ただ最近、休み時間も熱心に勉強してるなあとは思いましたけど。テスト前だから仕方ないんじゃないですか?」
「なるほど、それで睡眠不足なんですね」
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!