5/8
前へ
/20ページ
次へ
「城!送るから家教えて?辛いだろ?」 「ダメ……」 どうしてここまで頑なに拒否するのか、優はわからずに困惑する。だからといってここに放っておくなんてできるわけない。 悩んでいる間に、あやめはとうとう意識を失ってしまった。優は慌てる。 「とりあえず、病院……!」 救急車を呼ぶ、なんて手段は思いつけなかった。ただただ慌てて、優はあやめを背負って近くの病院に走った。 「落ち着いてきましたね。点滴が終わったら帰っていいですよ」 「ありがとうございました、先生」 優は頭を下げる。 今、あやめは点滴を受けながら眠っている。 「城さんは喘息持ちですかね?」 「……さあ、俺も詳しくは。ただのクラスメイトなんで。学校で発作を起こしたことはないと思いますけど」 そう言うと、医者は少し目を丸くした。どうやら兄弟かなにかだと思っていたらしい。 「そうですか……。最近無理をしている様子はありましたか?」 「特には……ただ最近、休み時間も熱心に勉強してるなあとは思いましたけど。テスト前だから仕方ないんじゃないですか?」 「なるほど、それで睡眠不足なんですね」 「え?」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加