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「会長、この資料どうすればいいですか?」
「それはもう使いませんね。棚にしまっておいて下さい」
「城さん、こないだやったアンケートの結果なんだけど……」
「ああ、私がまとめておきます。そこに置いておいてもらえますか?」
てきぱきと働くあやめ。それはこの生徒会室では日常の風景だ。
「お疲れさまでしたー」
仕事が一段落し、一人、また一人と生徒会室を抜けていく。
そして最後に残るのはあやめだけになった。これもいつものこと。
「ふう……」
あやめはため息をついて机に突っ伏した。
「疲れた……」
「………ずき、城!」
「ん……?」
あやめはゆっくり目を開けた。
「こんな時間まで大変だね、城。下校時間過ぎてるのに下駄箱に靴があったから来てみたんだけど……」
「こんな、時間……?」
はっとして時計を見る。
時間を確認した途端、あやめの顔から血の気がさっとひいた。
「しまった………!」
あやめは自分のカバンに荷物を詰め込むと、慌しく立ち上がった。
「藤元くん、ありがとうございました!すみません、急ぐのでこれで失礼します」
「あ、城!もう外暗いよ。家まで送るから」
「いえ、家の者にいらぬ誤解をされたら困るので。大丈夫です、今まで何度も夜に出歩いたことはありますから。ご心配ありがとうございます。さようなら」
早口でまくしたてるとあやめは慌しく生徒会室を出て行った。
「大変だな、城って」
誰もいなくなってしまった生徒会室で優はぽつりと呟く。
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