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優はそのまま帰路についた。 「ただいまー」 「おう、おかえり優」 「あれ?父さん今日は早いね。ツバメはどうしたの?」 「…………ドタキャンされてなぁ」 「…………………は?」 怪盗がドタキャン? 優は目を点にする。 「それ、ツバメを語った偽物のイタズラとかじゃないの?」 「いや、ツバメから手紙が届いてな」 「はい?」 藤元刑事は一枚の紙を優に見せた。 『今日は用事が入ってしまいました。明日の同時刻にお宝はいただきます。警察の皆さん、今日は休んでいいよ(笑)―――ツバメ』 「(笑)って……父さんたち馬鹿にされてない?」 優が手紙を返しながら言うと、藤元刑事は手紙をぐしゃっと握り潰してゴミ箱に投げ入れた。 「されてるに決まってんだろ!ったく、小娘一人捕まえられねーなんてよぉ」 落ち込み出した父に、優は慰めにかかる。 「あ、そういえばうちのクラスの子が警察の味方……って言ったら語弊があるけど、とにかく警察のこと考えてくれてたよ。みんなツバメの味方なのに珍しいよね」 「そんないい子がいるのか!どんな子なんだ?警察志望の友達か!?」 「ううん、女の子だよ。多分学校一美人で頭が良くて生徒会長までやってるすごい子。ついでに言うとすごいお金持ち」 優が言うと、藤元刑事はぽかんと口を開けた。 「……お前、そんな子と友達になれるのか?」 「城ってすごくいい子なんだ。だからみんな、城のこと慕っててさ」 「はぁ~、世の中すごい子もいるもんだな。……まあ、俺がその立場だったらすげー疲れそうだけど」 がははと笑って、藤元刑事はテレビを見始めた。 (疲れそう……そういえば城、疲れてたのかな。あのあと予定が入ってたのに寝ちゃったみたいだし) 今までなんでもこなすあやめが当たり前だったのだ。 少し気に掛けてみようと優は思った。
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