ツバメ

１

あやめの伯父、城正彦(ｷｽﾞｷﾏｻﾋｺ)は城家の当主である。

あやめの父義彦(ﾖｼﾋｺ)はその弟にあたる。

正彦は会社を経営しており、この家にもほとんどいないため実質の当主は義彦だが、いろいろ細かい所で口を出してくる。

……例えば、あやめが学年一位の成績をキープしたり生徒会長になったりしたのも正彦の命だ。

他の親族にもそのような難題をふっかけているようで、正彦は親族から嫌われていた。

難題を完璧にこなすのはあやめだけだったため、あやめは正彦に気に入られている。

気に入られているといっても、他の人よりもさらに難題をふっかけるのだが。

そんな兄を義彦は尊敬はしていたが、あやめに難題を押しつけるようになってからは距離を置いているようだった。

義彦はほとんど笑わないし厳しそうな雰囲気を出しているものの、中身はとても家族想いな優しい父親だ。

あやめもそんな父が好きだ。

……伯父の手前、父親に甘えることはないが。

伯父の命により、難題をこなす。

それが城あやめの日常である。