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「えへへ
ごめんなさーい。」
男の子は俯いていた顔を上げて、いたずらっ子な笑みを浮かべた。
「もぅ
しょうがないわねぇ~
ほら、ヒロ君早く着替えておいで。
お洋服は脱いだら洗濯物籠に入れておくのよ。」
「はぁ~い!」
そう元気よく返事をした男の子だったが、
すぐにはその場を離れず台所の中へと入って来た。
「ん?ヒロ君?」
母親が疑問に思って入って来た男の子を見ると、
着ている服は泥んこ汚れで真っ黒だった。
「何かいい匂いする~」
男の子は目を閉じて
クンクンと宙の匂いを嗅いでいる。
「あらあら、随分とお洋服汚しちゃったのねぇ~
汚れちゃんと落ちるかしら?」
母親は眉を八の字にして男の子を見つめた。
「ねぇお母さん!
今日の夜ゴハン何~?」
「今日はねぇ、
ヒロ君の大好きなシチューとハンバーグよ。」
「わーい!
やったぁーっ!」
男の子はパァーッと満面の笑みを浮かべてバンザイしてみせた。
「フフッ
さぁ早く着替えてらっしゃい。
ちゃんと手洗いとうがいもするのよ。」
「はぁーい!」
後ろ向きで返事をしながら男の子は台所を飛び出していった。
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