第一章

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「さっちゃん?」 お葬式が終わり夜になっても変わらず沢山の人が出入りしていて私に声をかける人もいた。 「さっちゃん元気にしてた?」 「えぇお久しぶりです」 さっちゃん。小さい頃からずっと呼ばれてきた。 幸。 私はこの名前がずっとずっと嫌いだった。 小学校の時、花の字が入っている友達や当て字の名前の友達が羨ましくて母さんに文句を言った事もあったっけ。 「さっちゃん結婚式場で働いてるんやって?」 それは半分嘘で半分本当だ。 専門を出て働いていた。 たったの半年だけど。 就職が決まった時家族はみんな喜んでくれて仕事用に質のいい黒のパンプスを贈ってくれたけれど今では靴箱の奥に埋もれてしまっている。 その時に出会った元彼の借金の為に必死に入った職場を半年で去りキャバクラで働き始めたんだ。 そして今やソープに身を沈めた。 そんな事家族に言える訳なく地元ではウェディングプランナーのまま話は止まっている。
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