第一章

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元彼に出会わなければ私は今も結婚式場で働いているんだろうか。 そんな事考えてもしかたないけれど… 「すごいなぁ!でもお父さん寂しいやろからたまに帰ってきたりな?」 「こっちにはお姉ちゃんがいるから」 「そやけど…あっそぅや!さっちゃんまた後でね」 彼女は私の肩をポンと叩くと「沙奈ちゃん!ちょっといい?」と奥の方へ声を張った。 奥から顔を出したのは愛想良く微笑むお姉ちゃん。 私は煙草だけ持ち家を出た。 玄関を出て石段に座るとため息が自然と零れる。 沙奈と幸。 私達姉妹は対照的な女だと思う。 明るくていつも誰かの中心にいる姉。 誰かの後ろをついていく妹。 勉強もスポーツもできて生徒会なんか仕切っちゃう姉。 成績表はよくて3止まりの妹。 'いいなぁあんなお姉さんがいて' '自慢のお姉さんやね' 小さい頃から何百回と言われた言葉。 そぅ言われる度、誇らしくて…いつも優しくて綺麗なお姉ちゃんは私の憧れだった。
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