第一章

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でもいつからだろう。 憧れから嫉妬になったのは。 勉強やスポーツだけじゃない。 習い事をするのが盛んだったあの頃。 上げたら切りがないけれど水泳もピアノも他の習い事も同じ日に始めたのに彼女が1日でできた事を私は何ヶ月もかかった。 父さんも母さんも比べることなんてしなかったけれど私はどれも一年足らずで辞めた。 同じ両親から産まれたのに… 一歳しか変わらないのに… そう思う度惨めになった。 彼女は偏差値の高い大学を蹴って自宅から一番近い大学に進んだ。 近いと言ってもここからだと片道二時間だ。 父さんは勿体無いと言い母さんは一人暮らしを進めた。 でもお姉ちゃんは首を横に振った。 'この街が好きだから' それを聞いた二人は誇らしげに微笑んだ。 思えば両親に抵抗したのはこれが初めてだったんじゃないだろうか。
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